経済産業省が、中小企業・小規模事業者向けにサイバーセキュリティの無料の相談窓口を開設しました。2つの窓口の使い分けと、相談の前に済ませておくことを整理します。
何が起きたか
経済産業省は10月27日、企業へのサイバー攻撃で大規模な情報漏えいが相次いでいることを受け、中小企業・小規模事業者向けの「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を開設しました。窓口は各都道府県のよろず支援拠点と、中小企業基盤整備機構(中小機構)のIT経営サポートセンターに置かれ、相談は無料です。商工団体や金融機関、税理士などの支援機関を通じて、この取り組みを中小企業に知らせていくとしています(経済産業省)。赤沢経済産業相は同日の閣議後の記者会見で、情報を届けながら個別の相談にも応じていく考えを示しました(共同通信)。
なぜ自社に関係があるのか
- *2つの窓口の使い分け。**よろず支援拠点は、各都道府県にある経営の相談窓口です。何をすればよいか分からない段階から、ITや情報セキュリティを含む経営の課題を何度でも無料で相談でき、必要に応じて専門家や関係機関を紹介してもらえます。IT経営サポートセンターでは、ITの専門家にオンラインで相談でき(1回60分、何度でも無料)、情報セキュリティ対策、リスクの整理、情報資産の管理、管理体制について助言を受けられます。特定のツールやベンダーに偏らない立場で助言するとしているので、製品を選ぶ前に優先順位を整理する場として使えます。
- *急ぎの相談は平日の日中に電話で。**中小機構は、情報セキュリティの急ぎの相談を電話の「経営相談ホットライン」(03-5860-1869、平日9時〜17時)で受け付けています。公表された資料に書かれているのは助言と専門家や関係機関の紹介までで、被害が出たときの復旧作業まで引き受けるかどうかは書かれていません。
- *監視や緊急時の支援を頼むなら。**経済産業省の参考資料には、相談窓口、異常の監視、緊急時の対応支援、簡易的なサイバー保険をまとめた「サイバーセキュリティお助け隊サービス」も載っています。利用料の最大2年分がデジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)の対象で、補助の上限は5万〜150万円、補助率は中小企業が2分の1、小規模事業者が3分の2です。
- *緊急対策パッケージとの関係。**政府は来週中に緊急対策パッケージをまとめる予定で、検討項目にはIPAや警察の相談体制の拡充と、お助け隊の拡充が挙がっています(10月27日の記事)。経済産業省の窓口は、パッケージの公表より先に開設されました。
明日やること
- 自社診断を済ませてから相談を予約する。IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で、できていない項目を書き出す。その一覧を持ってIT経営サポートセンターのオンライン相談を予約し、どれから直すかを聞く。規程がない会社は、IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」にある基本方針のひな形から始められる
- 連絡先の一覧に窓口を書き足す。インシデント対応の手順書の連絡先に、経営相談ホットラインの番号と受付時間、自社の都道府県のよろず支援拠点の電話番号を入れる。受付は平日の日中なので、夜間や休日に誰へ連絡するかも合わせて決めておく(平時に作る連絡網)
- お助け隊サービスの補助の条件を確かめる。監視や緊急時の支援を外部に頼む予定があれば、自社が補助率の高い小規模事業者に当たるかと、補助金の公募の時期を確かめてから見積もりを取る
もっと知るには
専任のチームがなくても始められる体制づくりはSOCとCSIRTの違い、被害が出たときの最初の動き方はインシデント発生時の初動対応で解説しています。身代金を要求する攻撃の基本はランサムウェアとはをご覧ください。
出典
- 中小企業・小規模事業者向け「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を設置します
経済産業省 - 【重要】中小企業・小規模事業者向け「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を設置します
中小企業庁(ミラサポplus) - IT経営サポートセンター
中小企業基盤整備機構 - 全国のよろず支援拠点・生産性向上支援センター一覧
よろず支援拠点全国本部 - 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
IPA - サイバーセキュリティお助け隊サービス制度
IPA - サイバー対策で無料相談窓口設置 経産省、全国の経営支援拠点に
共同通信(熊本日日新聞)